メルロー
17 個
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このメルローという品種もまた、ワインの世界では知らない人がいないと言っても過言ではないほどの有名品種で、特にボルドーワインに欠かせない品種の1つです。最近は単一品種ワインとしても定番になっています。
主に赤ワインに使用されるフランス生まれの品種です。名前の由来はメルル(クロウタドリ)という小鳥から来ているとも言われています。メルローはその味わいの特性から、カベルネソーヴィニヨンとブレンドするベストパートナーとして、ボルドーワインには欠かせない存在になっています。フランスのボルドー地区を筆頭に(ボルドーの栽培面積の実に65%がメルローです)、南西地方やラングドック=ルーション地方でも多く栽培されています。
フランス以外のメルローの栽培は、イタリアやスイスといったヨーロッパの国々だけでなく、米国のカリフォルニアや南アフリカ、チリ、アルゼンチンなどにも広がっています。
温和な気候が向いていますが、果皮が薄く熟しやすいため、冷涼な気候でもちゃんと熟します。メルローの実は大粒でふんだんに実をつけやすいので、品質の高いぶどうに仕上げるためには間引きが重要です。
果皮の薄いメルローは収穫時期が重要で、熟しすぎるとメルローの特徴が失われてしまいます。砂利質の土地では、成熟が早く進んで収穫時期を間違うと命取りにもなりかねない一方で、ポムロールやサンテミリオンのような粘土質の土地では素晴らしい品質をもたらします。1960年以降、丈夫な品種の固定にも成功し、生産技術が向上したおかげもあって、メルローは育てやすく、醸造もしやすく、それでいて複雑でありながら若いうちから飲みやすいワインを生み出してくれるとあって、すっかり人気者になりました。
フルーティでスルスルと飲めるワインも、芳醇でしっかりとした骨格のある複雑なワインもどちらにも対応できるのがメルローです。
なんといっても、その親しみやすさ、飲みやすさ、ふくよかな口当たりの良さが特徴です。皮が厚くてタンニン分がしっかりと多いカベルネ・ソーヴィニヨンとは対照的で、ボルドーでは、ブレンドによってこの2つのそれぞれの良さがうまく引き出されています。
香りの特徴としては、赤い果実やプルーンやブルーベリー、ダークチェリーといった黒い果実にスミレやミントのようなニュアンスもあります。熟成が進むと土っぽさが出てきて、キノコやなめし革のような香りへと変化していきます。
メルローはカベルネソーヴィニョンやシラーなどの濃い赤ワインに較べると、タンニンの渋味が少ない軽やかな味わいの、飲みやすいワインに仕上がります。やはり肉料理と合わせるのが基本ですが、肉の種類は鶏肉から牛肉まで広くペアリングしやすいのが特徴です。