ミュスカ(モスカテル)
8 個
8 個
あの魅惑的な香りの虜になってしまう人もきっと多いはず。白ワインやスパークリングワイン、また甘口ワインの原料になることもあるミュスカは、その香り高さが最大の特徴です。
ワイン用ぶどうから、生食用のぶどうまで、また緑色の皮をした白ぶどうから、皮の色が巨峰のように黒っぽい色をした黒ぶどうまで、ミュスカに分類されるぶどうは200種類を超えると言われています。ここでは、ワイン用の白ぶどうであるミュスカ・ア・プチ・グランについてお話しします。
ミュスカの起源は中東と言われており、古代からすでにギリシャではミュスカを使用したワイン醸造が始まっていて、地中海沿岸諸国で栽培されていました。というのも、ミツバチたちがその香りにつられて集まってきたこともあり、はちみつ作りにも重宝されたからなのだそうです。フランスでは、南部のナルボンヌ辺りに最初のミュスカがもたらされたと言われており、地中海沿岸の南フランスを皮切りに、ローヌ地方、そしてアルザスにも広がりました。
フランス以外には、イタリア、スペイン、オーストラリアでも辛口の白ワインやスパークリングワイン、また甘口ワインの原料として栽培されています。
ミュスカ・ア・プチ・グランはその名の通り、ぶどうの粒が小さいのが特徴です。かつては乾燥した気温の高めの土地を中心に育てられていましたが、現在では北部の産地にも広がっています。
南部で育てられているミュスカはフランスでは甘口の酒精強化ワインとして醸造されることが多く、ローヌ地方では辛口のスパークリングワイン、アルザス地方では辛口の白ワインとして醸造されています。アルザス地方では、年によって気候とぶどうの状況が良ければヴァンダンジュ・タルディヴ(遅摘み)として、自然な状態で糖度が高くなった素晴らしい品質の甘口ワインが生み出されることもあります。
日本のみなさんなら、シャインマスカットを思い浮かべてもらえれば良いでしょう。実際の香りはさらに複雑ですが、ぶどうの持つ生き生きとした香りがそのままワインにも反映される数少ない品種の1つです。まさにぶどうをそのまま齧ったような感覚にさせてくれます。さらに、柑橘やバラのニュアンスも加わります。
辛口の場合、味わいはすっきりと爽やかで清々しい印象です。甘口タイプの場合は、はちみつや干し葡萄のような濃厚な味わいです。
その香り高さから、辛口タイプの場合は特にアペリティフ(食前酒や食事を始める最初の1杯)として重宝されており、客人を出迎える、これから始まる楽しい食事をスタートさせるのにぴったりと言えるでしょう。ワインを合わせるのが難しい食材の1つと言われているアスパラガスとの相性が良いのがこのミュスカです。春先のアスパラガスが旬のシーズンにはぜひ試してみてください。
甘口タイプのミュスカの場合も食前酒として楽しむことができますが、フォアグラの前菜や、食事の後半になりますがブルーチーズやパイ生地などを使ったデザート、ドライフルーツとの相性もとてもよく、甘口ワインを存分に美味しく味わえる組み合わせになります。