テンプラニーリョ(ティンタ・ロリス)
2 個
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スペインを代表するワイン産地リオハの代名詞とも言えるテンプラニーリョ。ボディのしっかりしたワインを生み出すこの品種は、樽熟成によりさらに深みが増します。
テンプラニーリョはスペインを代表する赤ワイン用のブドウ品種で、リオハとリベラ・デル・ドゥエロの地域が特に有名です。また、ナバーラ、ラ・マンチャ、カタルーニャ、トロなど、スペイン全土で広く栽培されています。テンプラニーリョの名前は、スペイン語で「早い」を意味するtemprano(テンプラーノ)から来ており、スペインのその他の赤ワインに使用されるブドウ品種に比べて、収穫時期が早いことからその名がついています。
ポルトガルでは、このテンプラニーリョはティンタ・ロリス(Tinta Roriz)やアラゴネス(Aragonez)の名前で知られており、ポルトを生み出すドウロ川流域での栽培が盛んです。さらに、アルゼンチン、オーストラリア、アメリカのカリフォルニアなどの新世界のワイン産地でも栽培されています。
テンプラニーリョのブドウは、比較的大粒で濃い紫色をしています。房も中程度から大ぶりで、長めなのが特徴です。気候に関しては幅広い場所に対応しますが、皮がしっかりと厚いため、日差しが重要です。またもともと酸度が高くないので、酸味を確保するため夜間に十分に気温が下がる必要があり、品質の高いワインにするためには、昼夜の大きな寒暖差が決め手となります。その皮の厚さから、タンニン分と色素は豊富で、酸味を確保できれば長期熟成にも向いています。酸度・糖度ともに高めの品種ではないので、テンプラニーリョ100%のワインは非常に少なく、約9割はガルナッチャやグラシアーノ、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンなどとブレンドしてワインにされます。
石灰質や粘土質の土壌を好み、実が詰まっているので風通しの良い場所での栽培が理想的です。樹勢も平均的で、収量は安定しているので土地の条件が合えば管理しやすい品種と言えます。
そのしっかりと厚い皮からくる深いルビー色と骨格のある豊かな風味がテンプラニーリョのワインの特徴です。若いうちは、チェリー、ストロベリーなどの赤い果実の香りが主体で、バニラやスパイスのニュアンスも感じられます。熟成が進むにつれ、プルーンやタバコ、チョコレート、レザー、ドライフルーツといった複雑なアロマが加わり、風味がより深まります。
ボディはミディアムからフルボディで、タンニンはしっかりとしながらも滑らかで、酸味とのバランスが取れています。リオハのテンプラニーリョは特に、オーク樽での熟成が一般的です。代表的な二大産地のうち、一般的にリオハではアメリカ産のオーク樽を使用してバニラやココナッツの風味がするのに対し、リベラ・デル・ドゥエロではフランス産のオーク樽が使用され、オークそのものがもつスパイシーさを重視しています。
テンプラニーリョは、豊かな風味とバランスの取れた酸味・タンニンから、グリルした肉料理との相性が抜群です。また、トマトベースのパスタ料理や、ハードタイプのチーズ、特にスペインでは一般的な羊のミルクで作られたケソマンチェゴなどとの組み合わせは鉄板です。イベリコ豚の生ハムやチョリソー、タパスといった伝統的なスペイン料理、また樽熟成されたテンプラニーリョは、スモークされた料理とも調和して、その味わいを引き立てます。