ベリュウ家
3 個
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リムー地方は、フランス南西部に位置し、世界最古のスパークリングワイン生産地として知られています。特に「ブランケット・ド・リムー」が有名で、シャンパーニュ地方よりも早く発泡性ワインを造り始めたとされています。気候は地中海性と大西洋性の影響を受け、涼しい夜がブドウの酸味を保ち、バランスの良いワインが生産されます。
ドメーヌと畑のあるロックタイヤード村は、人口わずか200名ほどの小さなコミューンです。標高は240〜654mと11㎢あまりの小さな土地の中で400mも標高差があります。ベリュウさんの畑は標高300〜400mにあります。
畑の面積は6ha。うち4haがスパークリングワインであるラ ボエームに使用する品種であるブランケットの畑です。残りを赤ワインに使用するカベルネソーヴィニヨンやメルローを植えています。
オーガニック歴:認証は1981年から
EUとしてのオーガニック規定が定められたのが1991年。フランスが国として法制化し始めたのが1980年。それよりもずっと以前の1964年から活動していたフランスのオーガニック団体が「ナチュール・エ・プログレ」です。当主のジャン=クロード べリュウさんは、そこで長年活動し、会長も務めたことのある人。ラジカルなエコロジストにして筋金入りのオーガニック栽培家です。
畑にも醸造するワインにも一切の添加物や化学物質を加えません。多くのオーガニックワイン生産者も「必要悪」として、最小限仕方なく添加する二酸化硫黄でさえ使用しません。積み重ねてきた経験により、生み出されるワインはより安定し、品質も高まっています。
また畑に化学物質を使用しないべリュウさんは、栽培においても研究熱心です。近年では、病気に強いということを目指してドイツで研究された品種であるカントール、コルティスという品種の栽培から醸造にも挑戦するなど、オーガニックを追求し続けられるような工夫も行なっています。
白ぶどう:モーザック
黒ぶどう:メルロー、カベルネソーヴィニヨン
畑の土壌は、ラ ボエーム(古代製法の天然の甘口スパークリングワイン)の原料となるぶどう、モーザックの栽培に伝統的に適した粘土石灰質からなります。畑の場所は、よその畑から離れた標高300~400mの丘の上にあります。
古代製法(メトード・アンセストラル Methode Ancestrale)と呼ばれる、シャンパン製法以前の方法で作られたスパークリング・ワインです。
完熟したぶどうを選り、果汁とし、発酵させます。発酵が盛んになりぶくぶくと泡が立っているところで、澱引きをして、酵母のほとんどを引き上げてしまいます。そしてびん詰めして仮の栓を打ち、冷たい室に移します。酵母量が減ったことと、温度が低くなったことで、発酵は停止します。そして春が来るまでそのまま寝かせておきます。
春になり暖かくなると室から出します。すると、温度が高くなったことで、発酵が再開されます。酵母の量が少ないため、とてもゆっくりです。栓をしたびんの中での発酵ですから、発生する炭酸ガスはワインの中に溜まります。発酵が落ち着いてから、びんの口を斜め下にして、何年もかけてゆっくりと熟成させます。熟成が進み、役割を終えた酵母が澱となって口部に沈んだところで、栓を抜いて、澱を抜き去り、そのまま(何も加えず)新しい栓を打ちます。
これがメトード・アンセストラルです。原料のぶどうだけを使い、何も加えるものがありません。ですから、味や品質を補正することもできず、ぶどうの出来と醸造の管理がすべてです。よい果実のみを選りすぐるため歩留まりが悪く、品質の悪いものができるリスクもずっと高くなりますが、昔から伝わる方法を実直に実践し続けています。
私たちがほぼ全てを手作業で、手間暇かけてオーガニック農法でぶどうを栽培して、オーガニックワインを造り続けている理由は、何より自分たちの信じることを実践するという個人的な喜びのためであり、また地球を守るためであり、そしてこれまでとは違う形での生産者と消費者の関係の中で、可能な限り高い品質の製品を提供したいからです。
オーガニック農業こそが明日につながる農業だと信じています。賞やメダルAOCの規定にも興味はありません。私たちのことを知ってワインを飲んでくれたお客さんたちが満足してくださればそれで十分なのです。